2017/08
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ミステリとしては「バカミス」、だけど
殊能将之というミステリ作家は、一筋縄ではいかない作品ばかり書く人です。
これも、トリックや犯人当てを主眼として読めばまさに「バカミス」(おバカなミステリ)なのだけれど、妙な魅力のある本。
「キマイラの新しい城」。

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以下は感想です。
名(迷?)探偵・石動戯作のシリーズ、今回の事件はなんと750年前の殺人事件、依頼人はその被害者(の霊)だ!

フランスの古城を移築したテーマパーク、その社長に、城の持ち主・エドガー・ランペールの亡霊がとり憑いてしまった。エドガー卿は十字軍に従軍した槍の名手で、稲妻卿の異名を持つ。戦地から帰還後この城を建てて隠棲していたが、ある日城内の密室で死を遂げたのだ。彼を殺害した犯人は誰か?

さらに、石動が事件の再現などしているうち、今度はその城の中で現実の殺人事件が起きてしまう。殺害されたのは社長秘書。さて犯人は誰か?

稲妻卿の亡霊と、現代の事件の捜査にあたる千葉県警の刑事・紅林、そして石動と三人の視点から物語は語られていく。

最後に明かされる二つの事件の真相はあまりにもおバカで、ミステリとして読めば「バカミス」の範疇にはいってしまうだろう。

しかし中世の騎士・稲妻卿の視点が現代日本への批評眼ともなり、やたらと悲観的な刑事・紅林の視点が皮肉さを加味する。さらに石動のドタバタとアントニオの蘊蓄にニヤリとさせられる・・・という具合で、むしろそれが面白い。

圧巻は異教の聖地ロポンギルズ(稲妻卿視点)での、ヤクザ相手の大立ち回り。この地にいたるまでの道程、千葉から江戸川を越え、皇居前・霞が関を通って六本木に至る道を、稲妻卿視点と紅林視点でそれぞれ描いている部分も笑える。

稲妻卿の言うトキオーン、紅林の言う増殖し転移する東京こそが、キマイラなのかもしれない。
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