2017/04
≪03  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30   05≫
独特のファンタジー世界
ファンタジー文学というジャンルがあって、これはまあ「児童文学」の範疇に何となく入っています。で、おとなになると何となく遠ざかってしまったりするのですが。

ファンタジーに限らず、子ども向けとして書かれた作品の優れたものは、いくつになって読んでも面白い。
「精霊の守り人」

02761209.jpg


以下は感想です。
もともとは1996年に発表された作品だというから、もう10年以上前のものということになる。文庫化されたものをたまたま目にして購入。子どもが大きくなってしまって、児童文学というジャンルにあるファンタジー文学からは、やや遠のいていたのだが、日本のファンタジー文学もここまできていたのか、と思わされた。

主人公は短槍の名手、流浪の用心棒をなりわいとする女・バルサ。舞台は架空の世界架空の時代の「新ヨゴ皇国」。旅の途中、たまたま川に落ちた第二皇子・チャグムを助けたことから、バルサは不思議な冒険に巻き込まれることになる。

ファンタジーものというと通常は男女を問わず若者の成長譚が主軸で、中年になろうかという年代の主人公というのがそもそも珍しい(ゲド戦記の後半はそうなっていくけど)。しかも女性の武人という設定がまた特異。

わずか12歳の少年・チャグムに憑いた、もう一つの世「ナユグ」の生きもの「ニュンガ・ロ・イム」。皇家の安寧のため皇子といえども抹殺する決意をした皇帝が送る暗殺者と、「ニュンガ・ロ・イム」を追ってチャグムを襲う「ナユグ」の怪物と、この世ともう一つの世と両方から迫る危険に、チャグムを護るバルサを助けて立ち向かうのは、この地の先住民族「ヤクー」の呪術師トロガイと、その弟子でバルサの幼なじみ・薬草師タンダ。

こうして手に汗握る冒険がはじまるのだが、その中で、バルサが短槍使いとなるに至った、重く苦しい過去が語られ、チャグムの葛藤と成長が描かれ、「ヤクー」が口伝えに伝えてきた「ナユグ」の知識と、皇家の正史の裏に隠されていた事実、そこに書き留められていた知識とが交錯する。

文化人類学の素養にも支えられているのであろう、緻密な世界構築と、さまざまな民族・身分・職業の人びとのリアリティも見事。こうした世界構築があればこそ、この後さらに物語が拡がってゆくことになったのだろう。

すでに単行本では外伝を含め10巻で完結しているとのことだが、文庫は現在第二話の「闇の守り人」止まり。早く続きを刊行してほしいものだ。
関連記事
Secret
(非公開コメント受付中)

カレンダー
03 | 2017/04 | 05
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
最新の記事
つぶやいてます
リンク

カテゴリー