2017/08
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「神」からの自由へ
 「守り人」シリーズ、『神の守り人』の第2部・「帰還編」。

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 以下は感想です。
 「守り人」シリーズ本編の第4話にあたる『神の守り人』、上下2巻の下巻は『帰還編』と名付けられている。上巻『来訪編』では、主人公バルサと幼なじみタンダを軸に、チキサ・アスラ兄妹との出会い、隣国ロタの川筋の民、呪術師にして王家の密偵であるスファル・シハナ親子との出会いと対立が描かれた。タンダとチキサは捕らわれ、逃避行の末織物商人マーサのもとに身をよせたバルサとアスラは、しかしふたたび旅に出ることを余儀なくされる。目的地はロタ北部の「ジタン祭儀場」。そこで何が待ち受けるのか・・・というところで終わっていたわけだが。

 隊商の用心棒をしながらアスラを連れ、ジタンへ向かうバルサ。しかし、シハナの奸計にかかり、アスラと引き離された上重傷を負ってしまう。シハナは、父スファルをも欺いて、ある計画を進めていたのだ。一方タンダは、シハナと対立したスファルに助け出され、川筋の民のネットワークをたどりながら、同じくジタンを目ざしていた。

 国の運命という大きな局面を見据えてゲームを進めるような、そしてそのために人を動かしていくような、カリスマ性を持ったシハナ。一方、大きな絵を描くことを拒否し、おのれの身ひとつを拠り所にシハナに立ち向かうバルサ。歴史の中に伝えられた過去からの教訓を知恵として、また経験とそのうえに編まれたネットワークとを力として、シハナの計略の無謀を止めようとするスファル。対照的な人物像が浮かび上がる。

 差別の苦しみと母を殺された恨みとを抱え、恐るべき神をその身に招こうとするアスラ。彼女をこの世にひき止めたものは、自ら生き延びるためにいくつもの命を奪ってきたバルサの、「あんたには人殺しは似合わない」という言葉であり、 ひとときでも人間的な安らぎを与えたマーサのいたわりであり、何よりも、「人」としてアスラを止めようとする兄チキサのまなざしであった。

 アスラもまた、最終的には、バルサ同様、その身ひとつで、「神の力」を拒否し、恐るべき神に対峙する。その結末はほろ苦いものとなったが、希望の光もそこには兆している。
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