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確かによくできたエンタテインメント
 面白い、という話は聞いていたのですが、何となく読まずにいたベストセラー。映画にもなりテレビ化もされた、 『チーム・バチスタの栄光』を、ようやく読みました。

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 以下は感想です。
 「このミス」大賞受賞、大ベストセラーのこの小説を、ようやく手にした。いや、別に避けていたわけでもないんですが。

 舞台は首都圏の端の地方都市(海に面している。どこが想定されているのかなあ)にある大学病院(東條大学医学部附属病院)。病院の看板である凄腕の心臓外科医・桐生によるバチスタ手術、連続26回の成功例の後の、3件の術中死。過失か?事故か?故意の殺人なのか?・・・という設定は、すでに有名だ。桐生自身の疑問を受けて、やり手の病院長・高階が調査を命じたのは、神経内科講師で不定愁訴外来(通称グチ外来)の主、田口公平。バチスタ手術チームのスタッフの聞き取りを進めるも壁にぶちあたった田口の前に登場したのが、型破りな厚生官僚・白鳥圭輔。かくして田口・白鳥コンビによる探偵が開始される。

 文庫解説にも書かれているが、とにかくキャラが立っている。主人公の田口・白鳥はもちろん、チーム・バチスタの面々、高階院長、不定愁訴外来の看護師・藤原、神経内科の医局長・兵藤などなど。キャラが立ちすぎて、マンガ的でさえあり、この点は好き嫌いが分かれるところだろう。

 物語は田口の視点から書かれているが、最初読み始めたときから、こいつ誰かに似てるなあと思った。そう、『イン・ザ・プール』の伊良部一郎である。あれほどハチャメチャではないが、上昇志向がなく、組織から距離を持ち、病院の隅っこに棲息していることが似ているし、何より担っている業務が近似している。ところが、後半白鳥が登場するや、「もっと似てるヤツが出てきた!」ということになる。何がといえば、その傍若無人のハチャメチャさであり、作り話も含めて自分の論理を押し通す自己主張の強さ、または厚顔無恥さ加減である。

 結局、田口・白鳥のどちらにしても、伊良部を連想させるのは、組織の約束事から距離をおき、ときにはそれを罵倒しあるいは笑いのめして成立する「彼(ら)」の(ある意味自分勝手な)論理が、状況を俯瞰し切り開く力となっている点である。そして、それが二人に分割して提示されることによって、掛け合い漫才にも似た笑いが生まれる。が、逆に、個々のキャラとしては、「特徴が目立つが、ちょっとつきあうと平板」となってしまう感はある。

 もうひとつ目立つことは、医療関係の専門用語の多くがまったく注釈なしに使われている点で、それが文章のスピード感をもたらしている。同じように「医者の書いた医療ミステリ」の分野に入るであろう帚木蓬生であれば、地の文や会話のなかでそれとなく説明されることが多いのだが、それもない。もちろんそれらは読者がわからなくてもさしつかえない道具の名前だったりするのだが、その名称をあえて出しながら説明しない、というところに、かえって現場的リアリティがかもし出されているように思う。

 しかし何といっても「あっ」と思ったのは、患者が死に至らしめられた真の原因、である。いやあこれは盲点でした。やられた!と思った。そこまでの伏線がきっちり生きており、意外性も高い。全体としてはエンタテインメントであるが、この点で「本格もの」の線をはずしていない。その按配はやはり見事である。 

 ところで、「小太り・服装はブランド品で固めているのに組み合わせが下品」な白鳥が、映像化の際にイケメン(映画=阿部寛、テレビ=仲村トオル)になってしまうのは何故でしょうかね?
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