2017/10
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そして新たな出発
 『守り人』シリーズ最終章最終巻、長く紡がれてきた物語も終局を迎えます。『天と地の守り人』第3部。

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 以下は感想です。



 シリーズ最終巻は、天変地異の警告をトロガイ・タンダに届けるべく新ヨゴ皇国へ向かったバルサと、カンバル・ロタの援軍をひきつれて新ヨゴへ帰還するチャグム、それぞれの物語が工作する。

 神の裔を自認する帝のもと、鎖国政策をもって、強国タルシュの侵攻に備えようとする新ヨゴ皇国。しかしその政策は、街の民を切り捨てていく、まことに理不尽なものであった。四路街でその現実に直面したバルサは、仲間の護衛士とともに街の民をひきつれ国境越えに導く。国境を越えてロタに入った難民たちが、チャグムの率いる軍勢と出会うシーン、そこでの怒りと悲しみをおさえこんだチャグムの姿は印象的だ。

 新ヨゴに残ってタンダの小屋を訪れたバルサは、彼が兵士として狩り出されたことを知り、激戦地だったタラノ平原へ。重傷を負って生死の境をさまようタンダと、彼に寄り添うバルサの姿は、この国の最底辺の民が、踏みにじられ、なお生き延び再生していく姿でもある。

 一方チャグムは、援軍と、天変地異の知らせとを持って都に戻り、父・帝と対決するに至る。最後まで穢れなき「神の裔」としての誇りと矜持を捨てようとしない帝と、人として、穢れをもひきうけて国と民が生き延びる方策を探ろうとするチャグム。支配者の独占する「神性」に依拠する帝と、人としての暮らし、情、そして地の底にある<もうひとつの世界>ナユグに根ざすチャグムとの対決は、物語の中心的テーマのひとつでもあろう。考えてみれば、<神>の超越的な力と、人がどう向き合うか、どのような向き合い方を選ぶのか、というテーマは、物語の中に繰り返し出てくるものであった。

 ナユグの春は洪水となって多くを流し去り、新しい春が始まる。旧いタブーを捨て弟妹とともに野を歩くチャグム、ようやく戻った穏やかな暮らしをともにするバルサとタンダ、トロガイたち。用心棒家業を辞めた気配のないバルサと、帝の地位を継いだチャグムとが、ふたたび出会う日はあるのだろうか。

 最後に、後日談を読みたい登場人物たち。
 『闇の守り人』で活躍し、『天と地の守り人』にも登場した、カンバルのカッサ・ジナ兄妹。
 『神の守り人』で中心的な役割を果たし、今は四路街に暮らす、チキサ・アスラ兄妹。
 サンガル王国の王女サルーナ。
 ラッシャローの少女スリナァ
 ・・・けっこう、魅力的な脇役が多いんですよね。


 
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