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1959年/水俣病について伝えること(2)
1959(昭和34)年。日本は「岩戸景気」に沸き、皇太子(現天皇)ご成婚に沸いていました。国際オリンピック委員会が1964年のオリンピック開催地を東京に決定した年でもあります。

この年7月、水俣病研究を続けてきた熊本大学医学部は、水俣病の原因を「ある種の有機水銀」と結論づけます。原因がはっきりしたのだから解決策がとられた、と誰しも思うところでしょう。しかし、実際はそうではありませんでした。1956(昭和31)年の「公式確認」以来くすぶっていたいくつかの問題に「決着」がつけられたのは確かですが、それは解決と呼ぶにはほど遠いものだったのです。水俣病問題の「キモ」と昨日書きましたが、今につながり、今を問う問題群は、ほぼこの時にみることができます。
「決着」の第一は、漁業被害に対するものでした。水俣病の発生以来、操業を自粛せざるをえず、わすかに獲った魚も売れない、という状況に追い込まれていた不知火海沿岸の漁民たちが、補償と新日窒工場の排水(操業)停止を求めて抗議行動を起こし、警官隊と乱闘になった「漁民騒動」が11月。県知事が間に入った斡旋で、漁協に対して補償金が支払われることになりますが、新日窒は排水と水俣病の関連は否定し続けており、操業停止は問題外とされていました。

第二は、水俣病の患者家族に対するものです。新日窒は患者家庭互助会の補償要求には応じず、こちらも県知事が間に入った斡旋の結果、12月末に、「死者一時金30万円・成人患者年金10万円・未成年の患者年金3万円」という「見舞金契約」が結ばれます。これには「将来水俣病が工場排水に起因することが決定した場合においても新たな補償金の要求は一切行わないものとする」という一項が入っていました。

第三は「サイクレーター」と呼ばれる汚水処理装置の設置です。これによって工場排水は「川の水と同じくらい」きれいになる、と宣伝されました。

しかしここには、大きな問題がありました。
まず、新日窒は執拗に有機水銀説を否定、各種の反論学説を出して抵抗し続け、工場に原因があることを否認し続けており、それが低額の「見舞金」の根拠でもあり、操業停止・排水停止を行わない根拠でもあったわけです。しかし、このときすでに、工場内のアセトアルデヒド酢酸工程(触媒として水銀を使う)の排水を与えた猫が水俣病を発症しており、その実験結果を会社は知っていたのです。
第二に、解決策として喧伝された「サイクレーター」はもともと水銀の除去を目的として設計されたものではなく、また問題のアセトアルデヒド酢酸工程の排水はここを通っていませんでした。つまり、有機水銀を含む排水の処理対策は、実際には行われていなかったのです。

漁協・患者双方に補償金(見舞金)が支払われ、汚水処理対策がとられた。ここでいったん水俣病は解決済みの「終わった」問題とされ、翌1960(昭和35)年を最後に新たな患者の発生はない、とされました。その後10年間、新たな発病は隠され、患者家族は孤立と沈黙を強いられることになります。

政府が公式に水俣病の原因が「新日窒水俣工場の排水」に含まれる有機水銀である、という見解を出したのは1968(昭和43)年。技術革新が進んで問題の工程は用済みとなっており、この年、チッソ水俣工場を最後に、すべてスクラップ化されていました。
会社も(おそらく業界全体も)、政府も、水俣病の原因がアセトアルデヒド酢酸工程から排出される有機水銀であることを知りながら、この工程を使いきるまで、そのことを公式には認めず、動かし続けていたのです。そして汚染はひそかに拡大し、患者は不知火海沿岸各地で増えていったのです。

水俣病が「終わった」1960年、池田勇人首相の「所得倍増」の掛け声のもと日本経済は高度成長に入り、1968年のGNPは、西側諸国で第2位になっていました。
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(非公開コメント受付中)

ぼくもこの意見、同感です。

6年前に水俣病について組合の機関紙に書いたものを立岩真也さんのサイトに残してもらっているので、もしよかったら読んでください。

水俣病は終わっていない
http://www.arsvi.com/2000/000800tm.htm
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