2017/10
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「新型インフルエンザ」 米CDCの報告
 4日の朝日新聞に、こんな記事が載っていました。
 「新型インフル、幼児より5歳以上に死亡リスク 米調査」
 
 これを読んでぎょっとした方も多いのではないかと思います。私もまず見出しに驚き、記事を読んで、「あれ?ちょっと変では?」と思いました。

 CDCの原文はこちらです。ここで示されている、今回の「新型インフルエンザ」による子どもの死亡例(4月?8月)の特徴は、
 1) 36人中7人(19%)が5歳未満
 2) 22人(67%)が医学的な合併症をひとつ以上持っており、そのほとんどは神経・発達に関するもの
 3) 5歳以上の、リスク要因がなく細菌検査が行われた子ども全員を含む10例で、細菌感染の合併が確認された

 というものです。したがって、「5歳以上のほうがリスクが高い」ということではありません。むしろ、持病のない年長の子どもの場合、新型インフルエンザでの死亡には、合併した細菌感染が関与している、ということを示唆するものです。

 もう少し詳しいデータを見てみます。

 36人の死亡のうち、

 1歳未満は2人
 *2ヶ月の男の子 持病なし 肺から肺炎球菌を検出
 *4ヶ月の女の子 持病なし 細菌検査は行われず(病院外で死亡)

 1歳?5歳未満が5人
 *1歳の男の子 24週の未熟児、慢性肺疾患、中?重度の発達障害、胃ろう造設 細菌検査陰性
 *1歳の女の子 重い発達障害 てんかん 頭蓋内出血後 細菌検査陰性
 *1歳の女の子 持病なし 細菌検査陰性
 *2歳の女の子 持病なし 血液・髄液・胸水・脾臓から肺炎球菌を検出
 *4歳の女の子 脳性麻痺 細菌検査は行われず

 5歳以上が29人
 *5歳の女の子 CHARGE/DiGeorge syndrom・免疫不全 細菌検査の有無は不明
 *6歳の男の子 発達障害・てんかん 細菌検査は行われず
 *6歳の男の子 気管支拡張症・肺高血圧 細菌検査陰性
 *7歳の女の子 水頭症・中重度の発達障害・てんかん 細菌検査は陰性
 *8歳の男の子 急性リンパ性白血病 細菌検査の有無は不明
 *8歳の男の子 持病なし 細菌検査の有無は不明
 *9歳の女の子 持病なし 血液からレンサ球菌を検出
 *9歳の女の子 筋ジストロフィー・てんかん・慢性肺疾患 細菌検査は行われず
 *9歳の男の子 持病なし 血液からレンサ球菌を検出
 *9歳の女の子 中?重度の発達障害・気道過敏 細菌検査行われず
 *9歳の男の子 溺水後遺症・重度発達障害 細菌検査は陰性
 *9歳の女の子 持病なし 血液からMRSA検出
 *10歳の男の子 脳性麻痺・てんかん・胃食道逆流 細菌検査は行われず
 *10歳の女の子 脳性麻痺・慢性肺疾患・先天性心疾患(手術後) 細菌検査陰性
 *10歳の女の子 脳性麻痺・慢性肺疾患 細菌検査の有無は不明
 *11歳の女の子 肥満 細菌検査行われず
 *12歳の女の子 筋ジストロフィー・拘束性肺疾患 細菌検査陰性
 *12歳の女の子 脳炎後遺症?・自閉症・嚥下障害 細菌検査は陰性
 *13歳の女の子 二分脊椎・気道過敏 細菌検査は行われず
 *13歳の男の子 重い脳性麻痺・てんかん 細菌検査陰性
 *13歳の男の子 持病なし 肺からブドウ球菌・気管内チューブからMRSA検出
 *13歳の男の子 重度の発達障害・脳性麻痺・てんかん 細菌検査陰性
 *14歳の女の子 肥満 肺からMRSAを検出
 *14歳の女の子 Krabbe 病・慢性肺疾患 細菌検査の有無は不明
 *15歳の男の子 ダウン症候群 肺からブドウ球菌を検出
 *15歳の男の子 持病なし 血液からMRSA検出
 *16歳の女の子 水頭症・中?重度の発達障害・てんかん 細菌検査陰性
 *16歳の男の子 二分脊椎・水頭症 細菌検査陰性
 *17歳の男の子 脆弱X症候群・中?重度の発達障害 血液から肺炎球菌を検出

 ・・・まとめると、リスクになる病気がなくて、細菌検査で何も検出されなかったのは1歳の女の子ひとりだけ。検査の有無が不明なのも8歳の男の子ひとりだけ。

 だいぶん、新聞記事とは印象がちがいますね。
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(非公開コメント受付中)

詳しい情報ありがとうございます
いつも詳しい情報と冷静なコメントをありがとうございます。言葉は悪いですが、タミフルをかき集め、海外からワクチンを買いあさり、日本はどこに進もうとしているのでしょうか?鳥インフルエンザが出たときには恐ろしい事が起こるような気がするのは、私だけでしょうか?
神経や発達に障害がある子どもさんが亡くなっているのはどういう理由でしょうか?
コメントありがとうござます
国内では、喘息のようなぜーぜーが出てから、非常に早く呼吸困難に陥った子どものケースが何人か出ているそうで、それは(これまでのインフルエンザシーズンにはあまり聞かれなかったことなので)ちょっと気になるところです。もとから喘息のある子どもに限られるのかどうかはまだよくわかりません。

ここでとりあげられたアメリカでの死亡例の多くは、重度の障害で、自力で動けないとか、有効な咳をして痰を出すことができない、といった状態だったと考えられます。もともと肺機能が悪かった(肺炎をくりかえすなどがあったのかもしれません)と記載されている人も少なくありません。こうした子どもはインフルエンザにかかると肺炎にもなりやすく、重症化しやすいということは言えます。