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「新型インフルエンザ」臨床像のレビュー論文
“The New England Journal of Medecine"という医学雑誌に、"Pandemic 2009 Influenza A (H1N1) Virus Infection"、すなわちいわゆる「新型インフルエンザ」の臨床像をまとめた論文が掲載されました。もう2週間以上も前の記事なのですが、気になりつつも読み進める元気がなくて、デスクトップに置きっぱなしでした。

で、ようやく目を通したというところ。長い論文なので、いくつかポイントと思われるところを抜き書きしてみます。

まず最初に、2009年?2010年初めまでの流行の規模について述べられています。

During the spring of 2009, a novel influenza A (H1N1) virus of swine origin caused human infection and acute respiratory illness in Mexico.After initially spreading among persons in the United States and Canada,the virus spread globally, resulting in the first influenza pandemic since 1968 with circulation outside the usual influenza season in the Northern Hemisphere.

2009年春、メキシコで、豚由来の新しいA(H!N1)型インフルエンザウイルスが、人に感染して急性の呼吸器疾患をひきおこした。アメリカ・カナダに拡がった後、これは世界的に拡がり、北半球では通常インフルエンザのシーズンでない時期に蔓延し、1968年以降初めてのインフルエンザ・パンデミックとなった。


そして、2010年3月までに、ほとんどすべての国々で患者発生があり、検査で確定したうち17,700人以上の死亡があったことが述べられます。しかし、検査で確定した数はパンデミックの規模より大幅に少なく(日本でも感染が広がった後はそうであったように、全員に厳密な検査をするわけではないので、当然そうなりますよね)、アメリカでは、2010年2月半ばまでに、5900万人の患者が出、265,000人の入院があり、12,000人が亡くなったと推定されています。

次に、このウイルス自体について述べられます。8つの遺伝子のうち6つが北アメリカの、2つがユーラシアの豚インフルエンザウイルスに由来していること、実験動物では肺での複製の程度が季節性のものより高いが、病原性を強めるような遺伝子変異はないこと。

次は、疫学的な特徴です。

ほとんどが急性でself-limitedな(自然に治る)ものであり、子どもと若い人がもっともかかりやすく、60歳以上の人は比較的かかりにくかったこと、感染率は様々だがかなり高く、また不顕性感染も少なくないこと(ある寄宿学校では3分の1が不顕性感染)。

全体の死亡率は0.5%未満ですが、報告の間でばらつきが大きく(0.0004%?1.74%)、これは感染の確定・感染者数の把握が正確にはできがたいためだろうと推定されています。症状のあった人の死亡率はアメリカで0.048%、イギリスで0.026%。季節性インフルエンザと異なり、重症者の多くは子どもと若い成人(これは日本での流行中にも指摘されていました)、死亡例の約95%は65歳未満。つまり、子どもや若い人がかかりやすく、重症になる人も多い、ということですね。

入院する割合や死亡率は国によって違いますが、5歳未満、特に1歳未満の子どもで入院率が最も高く、65歳以上で最も低い。アメリカでは入院した人の32?45%が18歳未満だった。入院患者の9?31%(ずいぶん幅がありますね)がICUに入り、そのうち18?46%が死亡した。入院した人に占める死亡者の割合は50歳以上で最も高く、子どもで最も低い。高齢者は、入院するほどに悪化すると亡くなる率がやはり高いということになります。

二次感染を起こす率、簡単に言えば人から人への「うつりやすさ」は季節性と同程度かやや高い、生徒数の多い学校ではより高くなる("crowded"つまり混雑しているため!)。

入院、あるいは死亡した患者の4?2分の1は、特別な基礎疾患は報告されていません。リスク因子として挙げられているのは、
*5歳未満の子ども、2歳未満ではよりリスクが高い。1歳未満が最も入院する率が高い。
*妊婦 同年齢の女性に比べ入院する率が4~7倍、後期が最もハイリスク
*慢性的な循環器疾患 心不全や動脈硬化。高血圧単独ではリスク因子とはならない
*慢性呼吸器疾患 喘息、慢性閉塞性肺疾患
*代謝疾患 糖尿病
*免疫不全 HIV感染、臓器移植、化学療法やステロイド治療、栄養不良に伴うもの
*極度の肥満(BMI40以上)
*鎌状赤血球症
*慢性腎疾患 透析中、腎移植
*慢性肝疾患 肝硬変
*長期の喫煙
*長期にわたってアスピリン治療を受けている子ども ライ症候群の危険
*65歳以上

また、先住民など不利な条件におかれている人たちでは重症になる人が5?7倍にのぼります。人口密度の高さ、基礎疾患やアルコール症、喫煙率の高さ、医療へのアクセスの遅れ、もしかしたら遺伝的な要因、が関与しているだろう、と述べられています。

長くなったので続きます。
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