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タミフルの評価について
「新型インフルエンザ」に関するレビュー論文を、2回にわたってご紹介しました。
http://windycotage.blog66.fc2.com/blog-entry-400.html
http://windycotage.blog66.fc2.com/blog-entry-401.html

この論文は、基本的にWHOの見解と見なしていいものだと思いますが、お読みいただければわかるように、タミフルなどの「ノイラミニダーゼ阻害剤」についての評価はけっこう高いと言えます。

一方、基礎疾患のある人へのタミフルの投与は合併症を有意に減らさなかった、という論文もありました(ブックマークしていないので今探せないのですが)。

つまり、「タミフルの有効性」については、今も議論の対象となっている、と言っていいと思います。
日本の国内でも、臨床研究に熱心な小児科医の間では、一律にタミフルを早期に使う、という方法に対しては、評価は高くありません。今回の「新型」が、実は一般にはむしろ軽症だったこともあり、タミフルを使う使わないで、熱が下がるまでの日数はさほど変わらなかった、という統計を出している人もいますし、タミフルを飲んでいても肺炎を起こして入院した、という人がいたことも明らかになっています。

もちろん、重症になっている人、重症になる兆候のある人にタミフルを使うことには、異論はありません。ここで言う「重症」とは、熱が高いとかあちこち痛いとかだるいとか食欲がないとかいうことではなく(それはインフルエンザのふつうの症状です)、息が苦しい、そのために話もろくにできない、とか、意識がおかしい、呼んでも返事をしない、目も合わない、とか、いうことです。

しかし、ふつうに熱が出てインフルエンザと診断された人みんなに、タミフルやリレンザを使うことで、重症になる人を減らせるのか?ということが、議論になっているのです。

実は、私自身は、これまでのインフルエンザシーズンで、「タミフルやリレンザがあってよかった」と思ったことはありませんでした。せいぜい熱が少し早く下がるくらいで、ほんとうは必要がない人がほとんどだ、というのが、臨床の場での実感だったのです。

それが、今回の「新型」で、初めて、「これがあって良かった」と思いました。初期から咳がひどくてぜーぜーしている人に、タミフルやリレンザを出すと、熱が下がるのと平衡して咳やぜーぜーもすぐに良くなる、という経験が、何回かあったからです。あのままぜーぜーがひどくなれば、生命にはかかわらないまでも、やはり入院してもらわなければならなかったろうし、酸素を使う、ひょっとしたら人工呼吸器をつける、ということになったかもしれない、と思うのです。

以前にも書きましたが、実は重症になる人は熱が出て12時間以内に呼吸の状態がおかしくなっている人がほとんどだったとのことです。それは逆に言えば、「インフルエンザかどうか」の診断よりも、「呼吸障害の程度」の判断のほうを先にしなければならない(迅速診断で陽性になるとは限らない時期にすでに呼吸がおかしくなっている)、ということです。当然、その時点で入院が必要です。

ですから、「外来でタミフルやリレンザを使う」ことに意味がある患者さんというのは、むしろ少ないというか、例外的なのかもしれないとは思うのです。そう考えると、ノイラミニダーゼ阻害剤は入院した人しか保険適応にしない、とかいうことにすれば、今のような「使いすぎ」と言われる状況は改善されるんだろうなとは思います。ただ、そうなればなったで、外来で使っておけば入院しなくてすむ人がいるのに、という問題は多分出てくるのでしょう。

一方で、軽い「異常行動」というのはけっこう多いな、とも感じました。国の調査では、生命に関わるような重い異常行動が対象となっているのですが、そこまで行かない、何かわけのわからないことを言った、というような話はかなり聞きました。いわゆる「熱せん妄」と区別しにくい、とも言われていますが、すっかり熱が下がってからそういう行動が見られた子どももいて、タミフルの影響は否定はできないなと思っています。

もちろん、それはすぐに回復してあとに何があるわけでもないのですが、それにしても、そのような副作用を前提にするならば、もともと多くが自然に治るインフルエンザに、一律に使うのはいかがなものか、ということにはなりますよね。

使う・使わないの線をどこでひくのか、今みたいに、個々の医者の判断、いや、というより患者さん・保護者の希望、で決めていていいものだろうか・・・というのが、悩ましいところです。
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