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江戸川区の土壌セシウムのことで考えた
先日、江戸川区内で東京大学の小豆川先生をお招きしての勉強会に参加してきました。内容は、放射線の基礎知識と、実際に区内の土壌を測定した結果についてです。(数値と講演会の動画がこちらに公開されています。)

調査した江戸川区内の土壌で検出された放射性物質は、セシウム134とセシウム137(プルトニウムやストロンチウム、放射性ヨウ素は不検出)だったとのこと。側溝など溜まっている場所でない、ふつうの公園中央でそれぞれ土1kgあたり700ベクレルで、都内では多いほうだそうです。

というわけで、少しセシウムのことについて勉強してみようと思いました。ここではとりあえず基本的なことの整理から。

セシウムは、原子番号55、カリウムやナトリウムと同じ「アルカリ金属」です(→周期表)。天然に存在するのは安定同位体(放射能を持たない)であるセシウム133。(→こちらこちら)一方現在問題にされている放射性のセシウム134や137は、原発内で生じた人工的なものです。

これらの元素が環境中や人の体内でどうふるまうか、は、放射性の有無にかかわらす、その元素や化合物の性質によります。例えば、自然の放射性物質の1つであるカリウム40は、一定の割合で自然界に分布していて、放射性を持たないカリウムと同様に常時食品から身体にとりこまれ、排出されています。ヨウ素は甲状腺ホルモンの主要な原料であるため、放射性ヨウ素も非放射性のヨウ素も同様に甲状腺に集まります。

セシウムは、カリウムやヨウ素と異なり、通常身体が必要とする元素ではありません。しかし性質が同じ「アルカリ金属」のカリウムと似ているので、似たような動きをするようです。

原発事故で放出され、雨で降下したセシウムは、土の粒にくっついて、表面の浅い部分にたまっていることがわかってきています。そのため、地面の放射性セシウムから出る放射線の量もなかなか減らず、空間放射線量(「外部被曝」にあたります)は、少しずつしか減らなくなってきています。土に含まれる放射性セシウムの量がやや多いために、今も江戸川区の空間放射線量は1時間あたり0.2マイクロシーベルト前後で、都内では高めです。ただ、関西の方では、地質の違いから自然放射線でこれくらいの外部被曝がもともとあるという地域はたくさんあります。

一方、子どもは遊んでいるうちに土や砂を口に入れることもあります。風が強く土埃が上がるような時には、埃にくっついた放射性セシウムを吸い込むこともありえます。そういう経路からの内部被曝はどれくらいになるか、をまず考えてみました。

子どもはどれくらい土を食べているのでしょうか。
2000~2001年に行われた、環境省の「土壌の含有量リスク評価検討会」では、土の摂食量を子ども200mg/日、おとな100mg/日としています(土壌の直接採取によるリスク評価等について(平成13年8月検討会報告)PDF:別添2)。けっこう多いですね。
セシウム134、137が各々700ベクレル/kg含まれる土を200mg=0.2g食べたとすると、1日に各0.14ベクレルずつ。1年間で51.1ベクレルずつ摂取することになります。

土埃を吸入する場合はどうでしょう。
現在、セシウムは気体として空気中にあるのでも、新たに空から降下してくるのでもなく、地面に落ちているものが風でまき上げられて漂うものが問題です。しかし「埃が立っている屋外」の空気中にどれくらいの量の土が舞っているのか、の推定はなかなか難しいです。
厚生労働省の「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」(2000年策定)では、トンネル工事の現場での粉塵の目標濃度を「3mg/m3以下」としています。工事現場ほどの埃が舞うところで子どもが遊ぶことはないでしょうから、「風のある屋外」といってもこれよりはだいぶん低い濃度と考えてよいかと思います。一方大気汚染がひどいと言われる中国の都市部では、煤塵の濃度は200~300μg/m3(0.2~0.3mg/m3)くらいだということです(国立環境研究所「中国における都市大気汚染による健康影響と予防対策に関する国際共同研究プロジェクトの概要」)。日本での室内の環境基準が0.15mg/m3ですから、この倍くらいで、「空気が悪い」と感じるほどだということになります。
仮に1mg/m3の土が空気中に舞っているとします。工事現場よりはマシ、中国の都市よりかなりひどい、という汚染度です。セシウム134、137が700ベクレル/kgの土だと、この濃度なら1立方メートル(m3)あたり各0.0007ベクレル。で、子どもの呼吸量は10歳で1時間あたり1.12立方メートル(「放射線緊急事態時の評価および対応のための 一般的手順」pdf 、p.109)として計算すると、134・137合わせて1時間で0.0016ベクレル弱、8時間屋外にいたとしても0.0125ベクレル強、1年で4.58ベクレル、なので口から入る土よりさらに一桁少ない。実効線量係数は吸入のほうが経口より低いので、さらに影響は低く見積もれることになります。

こういうふうに考えると、土に含まれる放射性セシウムからの内部被曝よりも、毎日食べる食品からのもののほうが、ずっと重みをもつということになるかと思います。検出限界ぎりぎりの10ベクレル/kgであっても、500g食べれば5ベクレルですから。
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こんにちは、
はじめまして。
今日、初めて、こちらのブログにたどり着きました。2児の母です。
先週、福島の子供さん数人に甲状腺の変化が現れたという記事を読み、
3月中の放射性ヨウ素を、江戸川区の子供は、どれくらい取り込み、将来、何事もないのかと、
心配になっています。子供たちは普通に登校し、運動もしています。
将来、検査をした方がいいのか、するのならば、時期は?
先生の見解をお聞かせいただけたらと、思います。
コメントありがとうございます。いろいろ報道されるので心配になりますよね。
私も内分泌は専門外ですし具体的な数値もわからないのでどう解釈したものかと思っていましたが、小児内分泌学会が11日付で声明を出しました。データの説明も書かれています。別エントリでご紹介しましたのでご一読ください。
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