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これ以上ない「入門」書〜『『いちから聞きたい放射線のほんとう』
久しぶりに、読んだ本のことを書こうかな、と。

『いちから聞きたい放射線のほんとう〜いま知っておきたい22の話』
菊池誠・小峰公子・おかざき真里/筑摩書房

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NHKみんなのうたで、『いのちの記憶』というすてきな歌を歌っていたZabadakの小峰公子さんが、物理学者の菊池誠さんに、文字どおり「いちから」放射線のことを聞いた本。

なにより読みやすい、わかりやすい。難しい数式は一切なく、原子って何?放射線って?セシウムって?という疑問に、ごくごく基本的なところから答えてくれます。例の「周期表」っていうやつや、「原子」の絵も、おかざき真里さんのイラストで、なんだかおしゃれな感じになっています。
読みやすさには理由があります。まず、最初から最後までお二人の会話で進んでいくこと。問いと答えがきちんとかみ合って、どちらかが長々としゃべるのではなく、テンポ良く対話が進んでいくこと。まるでお二人と一緒に話しているみたいに、どんどん読み進められます。

といって、内容が「薄い」わけではありません。原発事故の後に話題になったことがらを理解する上で必要なものが、意外なほどたくさん、しかもコンパクトに、詰まっています。何か専門的な知識をやさしく言い表そうとすると、えてして、おおざっぱすぎて誤解されやすかったり、ポイントを微妙にはずしたたとえ話だらけになったりしがちなものですが、この本にはそういうところがありません。

小峰さんはご実家が郡山にあり、市による除染の対象にもなっています。菊池さんはそのご実家の放射線量を測定する手伝いをされたりして、お二人の間では何度となくこういう問答があったのじゃないかな、と思います。そういう下地が、会話のテンポの良さや、書きかたはやさしいのにきっちりした内容を、生みだしたのでしょう。

原発事故によって、私たちの日常にふりかかってきた放射能汚染問題。2011年の3月以降、メディアに踊る見慣れない用語や単位に振り回された、という実感のある人は多いでしょう。医学部で放射線についてひととおりは学んだことのある私でも、どう考えたらいいのか、戸惑った経験はあります。そんな中で、この本を1冊読めば、ずいぶんいろんなことが理解しやすくなると思います。

放射線ってよくわからない、という人にはもちろん、基礎知識がある人がもう一度頭を整理するのにも向いています。放射能汚染についてきちんと議論したり、考えたりするためには、最低限の「放射線の知識」は必要です(それがないと、まったくの空論になってしまいますから)。その「入門」の書として、今のところこれにまさるものはないと言っていいでしょう。
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